イベント・セミナー情報
令和8年度 第2回オンラインセミナーレポート
テーマ:「商習慣の違いを知ることから始まる産地連携」

概要
鹿追町農業協同組合(JA鹿追町)フィールドスーパーバイザー 今田伸二氏、横浜丸中ホールディングス株式会社 代表取締役社長 岡田貴浩氏、株式会社サラダクラブ 原料部 部長 竹村文孝氏を講師に迎え、キャベツの生産・流通・加工に対して、それぞれの立場で重視する点や実際に生じた課題、円滑な連携に向けた調整についてご講演いただきました。

セミナーの様子




質問へのご回答
参加者からの質問について回答させていただきます。
流通事業者として、産地と実需者をどのように結びつけたのでしょうか。連携を始める、きっかけ・課題などのハードルをどのように乗り越えてきたでしょうか。具体的な事例を交えてお聞かせください。
(横浜丸中ホールディングス様へのご質問)
横浜丸中ホールディングス 岡田様回答
もともと市場内の卸売業者だったため、加工・業務用の取引経験がそれほど多くありませんでした。そのため、加工・業務用として契約してくれる産地が周りには少なかったことが課題でした。そこで、各地の生産法人やJAなどを対象にリサーチを行い、契約取引に前向きな産地を、苦労しながら開拓していきました。
一方で、実需者側にも課題がありました。市場調達に慣れている企業の中には、「いつでもものはあるだろう」「価格はこんなものだろう」といった認識を持たれているケースがあり、加工・業務用の契約取引との違いを理解していただくための調整に苦労しました。
そのような中で、市場卸売業者として培ってきた市場情報が大きな強みになりました。市況情報の正確性や迅速性について信頼をいただき、生産者と実需者の双方に対して、今後の需給見通しや価格動向、市場の状況などを説明することで理解を深めていただくことができました。
生産者、実需者、そして私たち中間事業者が定期的に協議できる場を設け、互いの立場や役割を理解できるように通訳していくことが、私たちの役割だと思います。
生産者は、利用する品種を重視していると思いますが、流通事業者や実需者の立場では、品種をどの程度重要視しているのでしょうか。品種以外に重視している要素があれば、併せてお聞かせください。
(講師の皆様へのご質問)
JA鹿追町 今田様回答
品種選定は非常に重視しています。加工・業務用キャベツについては、3年間にわたり毎年30品種ほど比較検討を行い、その結果として現在の「おきな」という品種にたどり着きました。この品種は、評価が1番になったことはありませんが、収量が多く、生産者が安定して生産でき、さらに内部障害が少ないということが決め手となりました。
一方で、加工・業務用に特化した専用品種はまだ十分とは言えません。加工・業務用の需要は年々高まっていますが、未だに品種開発は生食向けが中心です。今後は加工・業務用に適した専用品種の開発を期待しています。
また、安定した収量を確保するためには育苗技術の向上も欠かせません。良い苗を安定して供給できる体制づくりが重要だと考えています。
横浜丸中ホールディングス 岡田様回答
加工・業務用では、大玉で歩留まりが高いこと、多収性があることが基本になります。
そのうえで、近年特に重要だと感じているのが、温暖化への対応です。気温上昇の影響が年々大きくなっており、耐暑性を持つ品種の開発が必要になっています。
従来品種についても、作付時期を見直すなど、作型の再検討が重要になっています。品種だけでなく、栽培方法や生産体系も含めて考える必要があると感じています。
サラダクラブ 竹村様回答
食品事業者として最も重視するのは品質と歩留まりです。品種の違いによって歩留りが変わってきます。また、品質面で、ボリューム感も重視しています。例えば千切りキャベツの場合、柔らかすぎるキャベツは洗浄や加工工程で折れてしまい、十分なボリューム感が出ません。そのため、加工適性の高い品種を求めています。
特に6月、7月、および10月、11月は、ボリューム感が出しにくい時期でもあります。今後は生産者や種苗会社と連動しながら、加工に適した品種や栽培方法をさらに取り組みたいと考えています。
品種以外では、温度管理が適切か、外葉が適切か、なども重視しています。また、輸送時の取扱いも重視しています。詰めすぎによる押しつぶしなどの品質低下を防ぐことも重要な課題であり、生産者と協力して改善を進めています。
食品事業者の立場では、安定的な原料確保が重要です。生産者との良好な関係を築きながら、持続的な調達を実現するために、実需者側はどんなことを意識して取り組むべきでしょうか?
生産現場と食品事業者で異なる、スケジュール感やスピード感のギャップを、どのように埋めているのでしょうか。
(JA鹿追町様、サラダクラブ様へのご質問)
JA鹿追町市 今田様回答
情報共有を密に行い、互いの状況を把握することが最も重要だと考えています。生育経過・収穫予測等について計画段階から情報を共有するためアプリケーションなどの活用も有効だと思います。
安定供給のためには品種選定のほか、栽培体系の確立も欠かせません。人手不足が進む中でも安定生産を実現するために、スマート農業技術や機械の導入で省力化を進めることも重要だと考えています。
サラダクラブ 竹村様回答
まずは、しっかり話し合うことが基本だと思っています。そのうえで、産地を訪問する際には、生産者から有意義だと思っていただけるように心がけています。例えば工場での品質管理の状況や、会社が今後どのような方向を目指しているのかなどを具体的に伝えています。
ギャップを埋めるためには、生産者側の意見をしっかり聞くことが大切です。また、適切な時期・タイミングで、約束や回答をすることも信頼関係の基本だと考えています。
産地との連携を進める中で、地域ごとの商習慣や文化の違いに直面することがあります。連携を始める初期段階と連携開始後、それぞれの段階でどのようなコミュニケーションを心掛けているでしょうか?
自治体やJAなど、地域の関係機関との連携も含めて、工夫や成功事例をお聞かせください。
(講師の皆様へのご質問)
JA鹿追町 今田様回答
産地連携を成功させるためには、生産者、中間事業者、実需者などサプライチェーンに関わる全員がチームとしてwin-winの関係で取り組むことが必要です。
そのためには、関係者同士が話し合える場を作ることが大事です。私たちも国の事業を活用しながら協議会を立ち上げるなどし、研修会や定期的な意見交換の場を設けてきました。そうした場を通じて考え方や情報を共有できたことが、産地連携を進める上で非常に大事だったと感じます。
横浜丸中ホールディングス 岡田様回答
加工・業務用産地づくりにおいては、農林水産省の加工・業務用野菜生産基盤強化事業(現:国産野菜周年安定供給強化事業)を活用した事例が多いのではないかと思います。従来の市場出荷から、契約価格のある加工・業務用の取引に、移行するきっかけとなった産地も多く、こうした仕組みを活用することで、比較的低いハードルから取り組むことができ、成功事例が生まれたと感じています。
サラダクラブ 竹村様回答
連携の初期段階では、お互いが信頼できる相手かどうか、長期的な取組ができる関係かどうかを確認することを重視しています。
連携開始後は、シーズン終了後にしっかりと話し合いの場を設けています。契約が守られたかどうかだけでなく、今後も建設的な話し合いができる関係かどうかを確認しています。
産地表彰を受けているような産地との関係性を見ると、お互いの立場を尊重しながら、目先のことだけでなく、中長期的な成長についても話し合っています。その結果が、契約数量の拡大にも繋がっていると感じています。
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