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令和8年度 第1回オンラインセミナーレポート

テーマ:「食品事業者との連携で生産者はどう変わる?」

概要

 有限会社平田観光農園 代表 平田真一氏(国産レーズンの製造・販売)と中野市農業協同組合(JA中野市)の常務理事 上野広樹氏(ぶどうの供給)をお招きし、両者の連携を通じて「食品事業者との連携を始める前後で、収益・販路・安定性・手間など、生産のあり方がどのように変化するのかを示し、食品事業者と生産者が連携することのメリット」についてご講演いただきました。
 また、全国農業改良普及支援協会 会長 別所智博氏にご登壇いただき、同会の役割・普及指導現場と食品産業の連携の可能性などについてお伝えいただくとともに、農林水産省からは、産地連携の取組を後押しする事業について紹介いたしました。
JA中野市 常務理事 上野氏(左)、平田観光農園 代表 平田氏(右)

セミナーの様子

質問へのご回答

参加者からの質問について回答させていただきます。

Q.01
【産地連携を開始する際の背景について​】
産地連携を始めるに当たって、必要となる設備投資や人材投資、その投資の財源などについて教えてください。
(平田観光農園様、JA中野市様へのご質問)

産地連携のきっかけ、その際、食品事業者から提案された「安心した言葉」などはあったでしょうか?
(JA中野市様へのご質問)
平田観光農園 平田様回答

最初の加工場は、もともとブドウ選果場として使われていた建物を改装して活用しました。衛生管理ができるように床や水回り、内壁を整備し、食品保管庫や乾燥機などの設備も導入しました。資金については日本政策金融公庫からの借入を活用しています。

その後、製造能力を3倍に増やすために2019年に工場を移転しました。移転先もキノコ工場だった施設をリノベーションして活用し、農地所有適格法人として、認定農業者の申請、総合事業計画の認定を得たうえで、アグリビジネス投資育成のシードファンドと日本政策金融公庫の融資を活用しました。

人材については、JA中野市の担当者からの紹介がきっかけでつながった方々が、今でも長く活躍してくださっています。
産地連携を進めるうえで大切にしてきたのは、単なる加工業者として関わるのではなく、生産者の立場に立って一緒に栽培を学び、取り組むということです。その姿勢が信頼関係につながったのではないかと思います。

JA中野市 上野様回答

全国にはたくさんのブドウ産地がありますが、その中で中野市を選んでいただいたことが非常にうれしく、ありがたく感じました。生産者にとっても、自分たちのブドウが評価されたという実感があり、誇らしく、大きな励みになっていました。

当時はブドウの販売環境も厳しく、不揃いの巨峰など、規格外品の扱いに苦労していました。しかし、干しブドウ加工という新しい活用方法ができたことで、「作ったものを無駄なく売る仕組み」が生まれたことは、生産者にとって非常にありがたいことでした。

平田観光農園の皆さんと懇親を深める機会があり、一緒にブドウについて語り合う中で、「この人たちなら一緒に取り組める」と感じました。そういった機会も、産地連携を後押しした大きな要因でした。

Q.02
【産地連携を始めてからの効果・課題・変化について】
生産者が感じた不安や課題、連携を始めたことによるメリット、連携前後の収益構造の変化、考え方の変化などはあったでしょうか?
(JA中野市様へのご質問)
JA中野市 上野様回答

生産者にとっては、自分たちの作ったブドウが、干しブドウとして商品化され、長野の駅前や、JA子会社が運営する直売所などで、実際にどのように販売されているのかを知ることができたのが大きなメリットだったと思います。

それまで規格外品は近所へ配ったり、畑で処分したりしていました。しかし、干しブドウとして活用できるようになり、これまで廃棄していたものにも価値が生まれました。さらに、畑への廃棄が減少したことで、病害虫の発生リスクも抑えられるようになりました。

生産者の中には、自宅で干しブドウづくりに挑戦する方も出てきました。「せっかく作ったものを無駄なく消費する」という意識が芽生え、農産物の価値や活用方法に対する考え方が変わってきたことは、大きな変化だと思っています。

Q.03
【産地側から食品企業側に求めたいことについて​】
加工用の出荷量を増やそうとした場合、食品企業側の助けがあると「ありがたい」といった作業などはあるでしょうか?
(JA中野市様へのご質問)
JA中野市 上野様回答

今後さらに加工用ブドウを増やしていくためには、生産者の作業を省力化できるかが重要だと考えています。特に摘粒などの作業は手間がかかるため、その補助や支援があると、参加する生産者もさらに増えていくのではないかと思います。
見た目が良くなくても、味は美味しいいブドウがたくさんあります。そうしたブドウをもっと有効活用できる仕組みが広がることを期待しています。

Q.04
【産地連携を始めてからの効果・課題・変化について​】
要求にそぐわない品質のものが発生した場合への対応策は何かあるでしょうか?​

新製品の開発において、産地連携する場合は市場のニーズを優先するべきでしょうか、産地者のニーズを優先するべきでしょうか?
(平田観光農園様へのご質問)
平田観光農園 平田様回答

農産物である以上、毎年品質や収量にはどうしてもばらつきがあります。日本有数の産地であるJA中野市様にお願いしても、必要な量や品質を確保できない年があり、リスクヘッジのために、収量や品質に余裕がある年には多めに原料を確保するなどしています。しかし、それだけでは市場ニーズに十分対応できない場合もあります。

例えばシャインマスカットの量が不足した場合には、ナガノパープルやクイーンルージュなど別の品種を活用したり、商品の内容量を見直したり、パッケージを変更したりして対応しています。

そのため、新商品開発においても、市場と産地のニーズのどちらを優先するかと聞かれれば、どちらかというと産地ニーズを優先しています。

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